冥利に尽きる

2週間前に引渡しをしたリフォーム現場の住まい手さんからのメールに、
「日々、家に帰るのが楽しみで」と書いてありました。

なんでもない言葉なんだけど、やっぱりこれが嬉しくて。

『暮らし』という言葉は、どうしても家にいる時間を想像してしまうけど、
会社で働いてる時間も、通勤電車に乗ってる時間も、外で友達と食事をしてる時間も、
家族の介護で病院や施設に通う時間も、全部全部全部、その人の『暮らし』な訳で、
どんな家を作るかだけではなく、もう少し俯瞰した暮らしの提案をしていきたいなと、
そんなことを考えながら仕事をしているのですが…。

それでも。

「家に帰るのが楽しみだ」「家にいる時間が大好きになった」と言ってもらえるのは、
冥利に尽きるなぁ…としみじみ思ってしまうのです。
幸せの実感を言語化しようとした時、それが「ただいま」だったら最高だよな、と、
自分のクライアントに限った話ではなく、誰もがそう思える家に住めますように、と、
住宅に関わる仕事をしている者としてずっと願い続けているような気がします。
そう思えるために必要な家というのは、決して立派である必要はないし、
持ち家か、賃貸か、なんて事さえも、どうでもいい事なのだと思うのです。

やっぱりあれだな。
私が手渡したいのは、家でも建築でもなく暮らしなんだな。
いや、暮らしというより、
『ホッとできる時間と場所』これに尽きるのかもしれません。

ここまで書いて、あれ?と思ってAboutページを読み返してみたら、
そっくりそのまま同じことが書いてありました。笑
ぶれてないぞ、私! いいこと書いてあるぞ!

また、書き始めた時と全然違うところに着地してしまいました。
ただ、嬉しいメールが届いたことを書きたかっただけなのに…。
仕事に戻ります。笑

写真は、件の住まい手さんのリフォーム後のファサードです。
減築をして、玄関周りをすっきりさせたら、
ずっとそこにいたシャラの木までが生き生きと見え、喜んでくれているかのようです。
確かに、この玄関だけでも、家に帰るのが楽しみになるのは頷けます。素敵。

月別アーカイブ