2024.6.8
異業ではあるけれど、一人親方の自営業仲間である若い友達が、
ちょっとした不動産トラブルに巻き込まれ、
いや、トラブルに巻き込まれ…というほど大げさな話ではないんだけど、
暮らしていたマンションがオーナーチェンジをした途端に、
解体する事になったから立ち退いてほしいという通達が届き、
こういう時はどうしたらいいのか…と相談を受けたので、
昨日、知人の不動産屋さんを紹介して、一緒に話を聞いてきました。
その問題は、順序だてて交渉していけば不利益を被ることなく解決する見通しがつき一安心。
予期せぬタイミングでの引越しが強要され、
忙しい中、家探しから始めなければいけないのは大変だけど、
これはきっと、来るべきタイミングで来た転機のきっかけなんだろうな、と彼女は言っていました。
私もそう思います。
そんな話の流れから、お互いの今の仕事の状況や、考えているこれからの展望について話すうち、
20年近く前に読んで以来、何度も何度も読み返してきた、
山田ズーニーさんの『独立感覚~independent sense』というコラムが、
今の彼女に気持ちにぴたりと嵌りそうな気がして、紹介してあげると同時に、
自分でも久しぶりに読み返してみました。
独立感覚とは何か?
ズーニーさんは『自分に関する信頼感』ではないかと言います。
でもそれは、自信満々に迷わず目標に向かって突き進む事とは真逆で、
いつも迷い、揺れ動いている感覚の事なんじゃないかと続きます。
そして、最後はこう締めくくられて終わります。
成功に効率よくたどりつくマニュアルが、
こんなに親切に出回っているいま、
自分の感覚を信じるなんて、
並大抵ではありません。信じてみたところで、
自分の感覚なんてとても小さい。
自分の感覚でやることだから、
プレッシャーもやたらきつく、
失敗の痛さもどでかい。だから、
自分の感覚を疑い続けるのもあたり前で、
悩み続けるのもあたりまえで。
それは一見、くよくよと見える。それでも自分の感覚を売り渡さず、
自分の感覚で最後まで、
遠く、時間のかかるゴールを
目指そうとする人だけが、
独立感覚に優れた人なのではないか、
私は、そう思うのです。
.
いつもいつも『これでいいのかな?』と迷ってばかりいたあの頃。いや、今もだな。笑
迷ってばかりで自信もないけれど、
自分が大切にしたいものは変わらないし手放せないまま、常に揺れ動いている私は、
35歳の時にこのコラムと出会っていなかったら、
おそらく今、ちょっと違う人生になっていたんじゃないかなと思います。
そのくらい、私に力をくれた文章でした。
25周年を迎える前日に、このコラムを読み返すきっかけが与えられたのも、
きっと意味があるのだろうな。
*
おかげさまで、本日、サブリエ(旧アトリエ朋)は25周年を迎えることができました。
本当はこの節目のタイミングで、少し体制を変えようかと考えていたのですが、
相変わらず、自分の感覚に自信を持てずに迷い続けたまま、
何も結果を出せずに今日を迎えてしまいました。笑
きっとこれからも、ずっと変わらず、悩んだり迷ったりして進んでいくのでしょうが、
それでも、この25年間の中でひとつだけ胸を張れることがあるとするならば、
『考えることをあきらめなかったこと。簡単に答えを出そうとしなかったこと』
だと思うのです。
傍から見ているとイライラさせることもあるかもしれませんが、笑
私はこれからも、この独立感覚を磨いていきたいと思っています。
25年という数字に私自身が驚いてはいますが、ただの通過点という意識の方が強いかな。
どんな事を考えながら、どんな仕事をして、どんな風に生きていくかは、
おそらく今後もこの場所を使ってダダ漏らせていきますので、
どうぞこれからもよろしくお付き合いくださいませ。
最後になりましたが、
今日まで出会ってくれたすべての方たちに、心より感謝申し上げます。
こうして続けてこれたのはあなたのおかげです。とみんなに言って歩きたい。
本当にそう思っています。