2021.6.18
ここ数年、「丁寧な暮らし」という言葉をよく見聞きするようになったけれど、
その丁寧な暮らしの「丁寧」って何のことなんだろうね?と友達と話をしました。
そんな話をするという事はつまり、世の中で「丁寧な暮らし」と思われている
一般的なイメージに違和感があるからなのですが、
例えば、我々住宅建築業界の人間がよく使い、
私自身もHP内に堂々と書いている「豊かな暮らし」の「豊か」だって、
実際どういうことを意味するのかな?と考えてしまったりするのです。
結論から言えば、その言葉の定義は人それぞれなわけで、正解なんてないのですが、
私自身がそういう言葉を発するときにイメージしてるのは
「ノイズの少ない暮らし」かなと思います。
ラジオのチューニングがぴったり合ったときにクリアになる音のように、
人との関係性や生活習慣において、雑音を感じない環境に身を置く工夫をする事が、
実はとても大切な事のような気がするのです。
そして、ノイズに自覚的であるためには、
自分の周波数をしっかり持っている事が重要なんだろうな、と。
歳を重ねたり、いろんな経験によって、
その周波数は微妙に変化はしていくのでしょうが、
私が家づくりのテーマにしている「自分らしく暮らす」というのは、
つまりはそういう事なのだと思います。
と、仕事に対する姿勢のふりをして書いてみましたが、私自身が今、
ノイズを除去していきたいという欲求が強くなっているのかもしれません。
2021年下半期の小さな目標です。
2021.6.14
いよいよ梅雨入りなんだな…と思わせるどんよりした空を眺めながら、
それでも、ここ数日の猛暑から解放されてホッとする朝です。
と同時に、この涼しい空気に触れていると、まだ本格的な夏も始まっていないのに、
あぁ、今年もあっという間に夏が終わってしまうんだろうなぁ…と、
ちょっと物悲しい気持ちにもなってしまったり。
昨夜、通り雨のように強い雨が降り、それがやんだあとにベランダに出てみたら、
雨上がり独特のあのにおいが立ち込めていて、幸せな気持ちになりました。
雨が降ったあとに地面から立ち上る匂いに『ペトリコール』という名前が
ついてることを知ったのは2年前。
ただ名前が付いていたというだけなのに、その名前の響きのかわいらしさも相まって、
妙に私の琴線を刺激し、雨の日、梅雨の季節の気持ちのありようが大きく変わりました。
このことに限らず、言葉の力で自分の価値観がひっくり返されることって、
意外とたくさんあるような気がします。
人生って本当に小さな点の連続で、取るに足りないようなことがきっかけで、
全然違う未来に連れていかれてしまうから面白いですよね。
雨の日が大好きになるような家を作っていきたいなと、最近よく考えます。
2021.6.11
どうしても投稿の気軽さから、インスタグラムの方にばかりポストしてしまい、
肝心な(肝心か?笑)ブログの方がおざなりになりがち。いけません。
昨日、国分寺のSk邸が無事に上棟しました。
今、建築業界をやや混乱させているウッドショックの影響を少なからず受けてしまい、
当初の予定より半月近く上棟が伸びてしまったこの現場。
施主のSさんご家族にとっても、長い半月だったと思います。
とりあえず、ここまでこぎつけられて一安心。
ご尽力くださった工務店さんに感謝です。
久しぶりに、しっかりと軒の出のある家になります。
軒ゼロの箱のような家も好きなんだけど、やっぱり深い軒下のある家に憧れます。
極限まで軒高を抑えて、周辺より少し背の低い家になるように設計しました。
まだ骨組みだけだけど、正面から見た佇まいがとてもきれい。うれしいぞ。
先日竣工したSg邸と全くタイプの違う家なのですが、思いがけず、
Sさんが同じ色の外壁を選ばれたので、「色と形と素材の妙」を再び楽しめそうです。
竣工は9月末予定。
流通の情勢的に、まだまだ油断はできませんが、
このまま無事に進んでくれることを祈りながら、祝上棟。
2021.5.29
今日5月29日は、相方さんの祥月命日。4年が経ちました。
まさか今年も緊急事態宣言下にこの日を迎えることになるとは思ってなくて、
予定していた神戸へのお墓参りも断念。
なんとなく、仕事の予定も人と会う予定も入れられず、
空けておいてはみたものの、この日をどう過ごしたらいいのか分からず、
なんだかいつも以上にダラダラ過ごしてしまった。
まぁいいか。
普段はもう大丈夫なんだけど、命日はやっぱりダメですね。
生前の彼を思い出して寂しくなるのではなく、あの日のこと、
突然おとずれた別れを理解できず、何が何だか分からないまま過ごした
あの怒涛の1日のことを思い出してしまうので、
どうしてもキューっと胸が痛くなります。
こういう思い出し方をしないで済むようになるまで、
あと何年くらいかかるのかな。
来年には、ちょっと記憶が薄れていたらいいな。
いつか、うっかり命日を忘れてた!くらいになれたらいいな。笑
2021.5.19
国立のSg邸が完成しました。
設計が始まる時に、デザイナーのご主人から出された家づくりのテーマは『原宿』でした。
「抽象的なのでイメージが伝わるか分からないのですが、原宿をテーマにしたいんです。
青山とも違う、渋谷とも違う、あの『原宿』という街をイメージして家づくりをしたいです」と。
確かに抽象的なのですが、言わんとしていることが不思議とストレートに伝わってきたのです。
そして、最初に記入していただいたインタビューシートには、ご夫婦それぞれが、
『ライフスタイルの表現の場であるということを大切にしたい』
『子供たちが自分の『好き』を大切に過ごせる家にしたい』と書いてくれていて、
読んでいるだけで、この家族のために提案すべき家の形が最初からくっきりと輪郭をもち、
なんの迷いもなくファーストプランを提出できたんですよね。
湧き出る感じでした。
このお施主様の要望をどう解釈したのかを、私自身もうまく言語化は出来ないのですが、
完成したこの家に、施主のSさんが本当に満足してくださっているので、
言葉にならない共通言語を持ってこの家づくりに臨めたのかなと思います。
抽象を具体に翻訳する。
おそらく、設計という仕事の根幹はこの作業に尽きるのだと思うのですが、
その醍醐味を存分に味わえたプロジェクトだった気がします。
今は、家づくりのヒントとなる情報があちこちに散りばめられていて、
ちょっと検索すれば、すてきな施工例の写真もいくらでも拾えてしまいますが、
知らない人のためにつくられた家の写真をスクラップするよりも、
もっと、ふわ~っとしたままの自分のイメージをそのまま言葉で伝えてしまった方が、
より自分が求めている家に近づけるのかもしれませんよ、と、
これから家を建てる人には声を大にして伝えたいです。
多少の微調整はあったものの、ほぼファーストプランのままこの家は完成を迎えました。
敷地面積が15坪、第二種高度地区の北側斜線も掛かってくる限られたスペースの中に
ご要望の間取りを入れるため、かなりシビアな断面計画での提案でしたが、
家の中の移動がいちいち楽しい、本当にSさんご家族にお似合いの家になりました。
まさしく、自分たちの『好き』を大切にしたライフデザインの表現の場になったのではないかと思います。
Sさんの引越しが終わり、生活が落ち着いたころに、
あらためて竣工写真を撮らせていただく予定ですので、
その頃には整っているであろう(笑)Worksのページで改めてご紹介できればと思います。
明日、お引渡し。
娘の嫁入り前夜の気分です。
2021.5.6
『コロナ禍』と呼ばれる世情となって一年余り経ち、学校の授業やら会議やらがオンラインで行われることも当たり前になっているのでしょうが、私は今だ未経験。
PCにカメラが付いていないことを言い訳に、zoomのお誘いもことごとくお断りしております。
今日、銀行で『TV窓口』なるものに案内され、画面越しの対応を初めて経験したのですが、なんだろう…、もう怖くて怖くて逃げだしたくなりました。笑
いかんとも説明しがたい心情なのですが、顔が見えるのに体温を感じられないシチュエーションというのが本当に苦手なのだと思います。
もうずいぶん前から、誰にも同意を得られないまま私の中でだけ確信となっているのですが、人との関係性がなんとなくカサカサしてきたり、おかしな詐欺行為が次々誕生するような物騒でゆがんだ世の中になった諸悪の根源は『インターフォンの登場』だと思っているのです。
玄関先にいる人を顔も見ずに追い返すことができる、画面に映る顔を見て居留守を使うことができるって、本当は相当に異常な行為だと思うんですよね。
もちろん私もやりますよ。
その恩恵には十分あずかっていながらこんなことを思うのもおかしな話なのですが、これが当たり前であることが本当に恐ろしいといつも思ってしまうのです。
今日、銀行で感じた恐怖心はおそらくこの事と繋がっていて、多分そう感じる私の方が少しおかしいのだろうな自覚はしつつも、私にとって、体温を感じられないコミュニケーションが一番苦手で怖いものなのだと痛感したのであります。
コロナが収束した後の世の中がどんな風に変わっているのか、今は想像できませんが、これを受け入れられないと、これからの時代は生きづらくなるのだろうという事は薄々分かっています。
それでも、この感覚は大事にしておいた方が良いとも感じているのです。
気兼ねなく人と会える日々が戻るようにと、今はとにかく、それを切に望みます。
2021.4.23
ベイシティローラーズのレスリー・マッコーエンが急逝したとニュースで知りました。
6才離れた姉の影響で、
小学1年生の時にベイシティローラーズやキッスを聞いていたという、
わりと早熟な洋楽デビューだったんですよね。
30年位前だったかな、
中野サンプラザで久々の来日コンサートがあると知って、
姉と一緒に行ったりもしました。
まだまだ熱狂的なファンのお姉さまたちの興奮ぶりに圧倒されたっけな。笑
ニュースを読んで、
youtubeで当時の曲を聴きながらこれを書いてるのですが、
懐かしい懐かしい。
ある時代を席巻した人たちの音楽って、色褪せないものですね。
自分がもうそういう年齢だから仕方ないんだけど、
誰かが亡くなったというニュースに触れる機会が圧倒的に増えて、
それはやっぱり寂しくて。
今日は現場の事を書こうと思っていたんだけど、急遽変更。
こんなに気軽に当時を思い出せる映像が見られたり、記録を残せたり。
「居る」と「居ない」の境目があいまいになった今の時代は、
ある意味、とてもいい時代なのかもしれないな。
2021.4.21
初夏のような陽気の一日でしたね。
4月もあっという間に1/3が終わってしまいました。
どうもうまくやるべきことをサクサク片づけられずにいて、焦る毎日です。
屋号を変えようが、働く環境を変えようが、
習慣とか癖とかはそうそう変わらないものです。とほほ。
緊急事態宣言がまた発令されるみたいで、
気持ち的な閉塞感とか、予定を決めていく上での不自由さとか、
もう本当に疲れてしまいますよね。
このCOVID-19は、体ではなく精神を蝕むウィルスだったのか?とさえ感じます。
いろいろいろいろ思うことはありますけど、
私がやるべきことをサクサク片付けられないのはコロナのせいではなさそうなので 笑、
新緑まぶしいこの佳き季節を満喫しながら、粛々と励みたいと思います。
…
なんだろう、この歯切れの悪いポストは…笑
2021.4.2
国立の新築現場Sg邸は木工事が9割方終了し、
造作の家具やキッチンの制作を残すのみとなりました。
特筆すべき楽しい要素がたくさんあるこの家。
15坪という限られた敷地の制約を逆手にとって、
シビアな断面計画の末、ワクワクするスキップフロアの家になりました。
家の中の移動がいちいち楽しくなるんじゃないかなぁ…。
床材の色は「ピスタチオ」と名付けられた塗料で、
グリーン掛かったニュアンスのある色合いがとてもいい雰囲気を醸し出してくれています。
玄関には框を付けず、厚さ30ミリの無垢材の小口をそのまま表しにする計画です。
私は図面に線を一本書いて「框無し フローリング切り放し」と書くだけですが、
大工さんにとっては相当に神経を使う大変な作業。見事な職人技。
信頼できる職人さんと仕事ができるというのは本当にありがたい事です。
厚さ60ミリの木板でつくるストリップ階段も付き(これがまたかっこいいのだ)、
外壁の上塗り工程も始まり(これがまたかっこいいのだ)、
5月半ばの完成に向けて結晶作業は続きます。
2021.3.28
割と濃密な打合せが続いた1週間が終了。
昨日は、中古住宅を購入されたSさんの全面リフォームの打合せ。
見積もりが出揃い、工務店さんの事務所で侃侃諤諤5時間に及ぶ作戦会議です。
リフォーム工事のコストコントロールは本当に難しい。
やりたい事とやっておいた方がいい事。
目に見える部分のワクワクと見えなくなる部分の安心。
それらをどう取捨選択していくかで金額が大きく変わるものですが、
特に、断熱改修を本格的にやろうとすると芋づる式に施工範囲が増えていき、
なかなか痺れる見積金額になるんですよねぇ…。笑
でも、いちばんやっておきたいところだから悩ましい。
最初に見積金額を見た時には、私も「ひぇ~」となったけど、
一通り、工事金額を構成する要素の関係性を丁寧に説明し、
Sさんの理解力の高さと、根拠を明確に説明できる丁寧な積算見積もりに助けられ、
終始和やかに建設的な打合せができました。
まだしばらくは根気のいる作業が続きますが、これから何十年住む家として、
目先の金額だけで判断しない方が良い部分も三者で共有できたので、
バランスの取れたゴールに着地できると思います。
(余談ですが、頑張って減額案を考えている最中に、合間合間で、
「いや、それ、むしろ増額案だから」という要望を
お施主さんが笑顔でぶち込んでくるのが可笑しいのです。
これ、今回に限らず、どのお施主さんもほぼ必ずやる。笑)
◇
現在、規模の大小の差はあれど、
全部で5件のリフォーム工事の相談を受けているのですが、
このSさんが一番最年少で、私と同じ年!若者!!笑
50代、60代、70代でのリフォームとなると、
少し前までは『終の棲家』的な考え方だけで要望をまとめられたものですが、
本当に『人生100年時代』が現実味を帯びてきた昨今、
リフォームしてからの人生も結構長いんですよね。
なので、取捨選択の判断基準も今までと少し違ってきています。
そして、このコロナ禍の影響も大きいのでしょうが、
住まい手さんがリフォームを決断する動機自体も大きく変化してきていると感じます。
住まいに求めるものが本質的になってきて、
本当に大切なことを取り戻しているようなおもしろさがあるのです。
今、サブリエでは、50歳からの住まいづくりが熱い♡