受け継ぐ

昨日の上棟式。
実はもうひとつ、初めて目にしたものがありました。
↓こちらです。

見たことがなかっただけでなく、存在すら知らなかったので、
これが出てきた時には、本当に興奮しましたよ。

鬼門と呼ばれる北東の方角に向けて、魔除けとして建てられる上棟弓矢だそうです。
いわゆる、破魔矢のようなものですね。
この写真では大きさが分からないと思いますが、
全長は、雄に大人の身長を超えています。迫力がありますよ。

なぜ、この写真を昨日一緒に掲載しなかったかと言うと、
お恥ずかしい話ですが、
「これ、矢の向きが逆じゃない?棟梁、間違えて付けちゃったんだな・・・」
と思ってたんです(笑)
こんなに素晴らしいものをブログで紹介できなくて残念だなぁ・・・と。

写真を撮ってる時から「なんか違うよね?」という気はしていたのですが、
なんせ初めて見るものだから、もしかしたらこういうものかもしれない・・・という気持ちも拭えず、
結局、確認する事が出来ないまま、悶々とした気持ちで昨日は帰ってきたのです。
で、帰ってから改めて写真を見て、これは絶対に逆だ!と確信してしまったのでした。

でも、せっかく魔除けとして建てたのに、向きが逆だったら不吉だよなぁ・・・と思い、
悩んだ挙句、思い切って大工さんに電話をして確認してみたところ、
この付け方で間違いありませんでした。(疑ってスミマセン)

鏃に見える部分が実は矢羽で、大きな矢羽に見える部分で悪い気を振り払うのだそうです。
そうと分かった途端、なんだかもう、向かうところ敵無し!という感じがしてきます(笑)

いい機会なので、『上棟式』をネットで調べてみたところ、出てくる出てくる!
本当にいろんなしきたりがあるのですね~。
それぞれに意味があり、深い趣があり、読んでいてとてもおもしろかったです。

ついでなので、私が知ってる唯一(?)の、上棟にまつわる古式話を書いておきましょう。

昔の家には、30cmも40cmもあるような、太い大黒柱が建てられてましたよね?
その大黒柱のてっぺんに、ちょうど1升分の穴が繰り抜かれていて、
上棟の時には、そこへお酒を一升、波々注いだそうです。
柱に染み込んだそのお酒が、木の油分とともに長い年月を経て表面に現れる事で、
あの独特の艶が生まれていったのだそうですよ。
きっと、割れ防止にも一役買っていたのでしょうね。

これが、慣例的に行われていた事なのか、一部の地方だけのしきたりなのかは不明なのですが、
このエピソードが私は大好きなのです。
昨日の弓矢もそうだけど、昔の人の知恵や思いには、いつも琴線をくすぐられます。

安さとか早さとか、そして、便利である事とか、メンテナンスが楽である事とか、
そんな事ばかりが競われている昨今です。
この時代に生まれて、この仕事を選んだからには、感傷に浸ってばかりいないで、
今のこの文化を受け入れていくのも大事なことだと思います。
でも、様々なしきたりそのものを継承していくのは無理だとしても、
家を建てるという行為に対する、昔の人の”思い”だけは、
つくり手も住まい手も、しっかりと受け継いでいきたいものです。

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