2021.8.6
昨日の夕焼け。
「美しい」より「怖い」が勝ってしまって、ぼんやり眺めていられませんでした。
これだけ雲が多いのに富士山がくっきり見えるのが何だか不気味で。。。
一夜明け。
SNSを覗いていると、昨日のこの風景を、
「なんて美しい夕焼け」というキャプション付きでアップしている人がたくさんいて、
もしや、私は美しいものを美しいと思えなくなっているのか?
と、少し不安になりました。笑
でも、やっぱり写真を見ているとぞわぞわしてしまいます。
もう少し穏やかな空が好きだな、私は。
2021.8.1
現在進行中の木造住宅のリフォーム工事。
お子さんたちがみんな独立し、ご夫婦ともに定年退職の時を迎え、
これから家で過ごす時間が増えるこのタイミングでのリフォームに、
おふたりが掲げたテーマは『超ポジティブな家庭内別居』。
とても仲のいいご夫婦だからこその、本当に素敵なテーマです。
家全体のバリアフリー化と一部水回り機器の交換、壁紙の貼替など、
一般的なリフォーム工事内容に加え、ご夫婦それぞれの個室を作っています。
新たに奥様の個室になる部屋は、大好きな色を組み合わせて仕上げた一面の壁に、
新築時にどうしても要望を叶えてもらえず、
でもあきらめきれずに憧れを抱き続けていたという丸窓を配置。
ご自分の『好き』を、ぶれずに明確にお持ちになっている奥様に似合う、
とても元気になれそうな明るい部屋になる予定です。
そして今回、一番大掛かりな工事になったのはご主人の部屋。
これからの暮らしの中で、親しいご友人やご親戚の男衆を集めて、
奥様にも気兼ねなく集会(宴会?)を開けるような自室を作りたいというご要望。
名付けて『俺の城』計画。笑
ミニキッチンなどではない、しっかりとした台所を備えることを希望され、
それならばと、「これこそが男の台所ですよ!」と私もすっかり楽みながら、
大工さんに箱を作ってもらい、モールテックスという左官仕上でつくる、
『俺の城』の名にふさわしいタフな厨房を提案させていただきました。
写真は、そのモールテックスの施工風景です。
下塗りを2層、仕上塗りを3層、乾いたら研磨し、さらに止水材とWAX。
本当に手間のかかる工程ですが、職人さんの手の跡がしっかりと残り、
有機的でありながら甘くならない、大好きな仕上です。
住みながらのリフォーム工事なので、ご主人も毎日ワクワクしながら、
その進捗を見守ってくれているようです。
全体の工事はもう少し掛かるのですが、この部屋はなんとかお盆前に完成させ、
夏休みの宴に間に合うよう、鋭意工事中。間に合うかな。
*
さて、『超ポジティブな家庭内別居』。
家族の数だけあるべき家の形がありますから、これがベストな訳ではありません。
みんながみんな、こんな風に自分だけの部屋を作れるわけではないし、
常に家族みんなの気配を感じられる家がいいというのも、
そのご家族にとってのあるべき家の形だと思います。
でも、夫婦に限らず親子でも、それぞれの大切な時間を尊重し邪魔をしない、
というのはきっととても大切で、それは気持ちの持ちようだけでなく、
もちろん、間取りや家の広さも関係なく、
ちょっとした物理的な仕掛けで導けるものなのかもしれないな、と、
いろんなご家族の家づくりをお手伝いしながら感じています。
そういえば、吉本隆明さんは娘さんたちが子供のころから、
彼女たちが自分の用事をしている時には、
絶対に自分の都合で中断させないと決めていたと何かで読んだことがあります。
気持ちのあり方として見習うべき態度だとしみじみ思います。自戒を込めて。笑