月別: 2022年11月

折り返し地点はいらない

友達と、ターニングポイントの話をした。

52歳という年齢からすると、とっくに人生の折り返し地点を過ぎてるのかもしれないけれど、
折り返しちゃったら、今まで見た景色を逆から見るだけでつまらない。
まだまだ見たこともない景色を見たいから、折り返す事なんて考えないで、
アホみたいに前進していった方が楽しいんだろうな。
でも、今までは結構一生懸命走っていたけど、
体力も無くなってきたし、すぐ怪我とかするから笑、
これからはもっと周りの景色を楽しみながら歩いた方がいいね。

そんな話。
我ながら、いい事言うなーと思った。笑

目的地も制限時間も設定しなければ、目の前に現れることすべてを楽しめそうな気がする。
本当に、楽しまないともったいないよなーと、心の底から思うのです。最近。

陰陽五行

宮内庁楽師として宮中行事などでも演奏されている雅楽奏者・松井北斗さんに、
雅楽についてのお話を聞き、その後、装束をまとった松井さんの笙の演奏を拝聴するという、
またとない貴重な体験をしてきました。
間近で聞く笙の音色は本当に美しく、静謐な時間に酔いしれましたが、
その生演奏と同じくらい、雅楽にまつわる奥深いお話は実に興味深いものでした。

中でも、その季節や方角といったいわゆる陰陽五行によって演目が決まるというお話は、
ただその事実を聞いているだけで神妙な心持ちになりました。
その他の『厳禁』とされている事柄も含め、本当に神聖な世界なのだと実感。
いつも地鎮祭の時に流れている『越天楽』も、これからは聞こえ方が変わりそうです。

実はこの企画、コロナさえなければ、2年前に私のアトリエで開催される予定だったのです。
大好きだったあの空間で聞きたかったな…と残念な気持ちも少しはありますが、
これもまた、陰陽五行の仕業なのかもしれません。

今日はこの予定以外にも、朝から、友人が出店するクラフトマルシェのお手伝いをしたり、
やはり別の友人たちが主催する本のイベントに立ち寄ったりと、
なんだかとても文化的な1日でした。
そしてまた、久しぶりの再会が立て続いた1日でもありました。
いったい何人の人と「ひさしぶり~」というあいさつを交わしたことか…。笑
いろんな刺激を受けたけど、たまにはこんな日曜日もいいな。

さて、11月も残り3日ですね。
明日はY様邸のお引渡し。楽しかったプロジェクトも一区切りです。
そして、2年間借りていた国分寺のシェアオフィスを解約することにし、
明日、荷物を引き上げる予定です。(このご報告はまた改めて!)
嘘みたいにあっという間に2022年も終わりが近づいてきましたが、
悔いの残らぬよう、一日ずつ、大切に過ごしていきたいと思います。

憧れる

「とても素敵な絵を買ったんです。
 その絵が似合う家にしたいので、今度金沢さんにも観てもらいたいんです」

プロジェクトがスタートしたタイミングで、施主のSさんからそう言われたのは2年半前。
その絵とは、上田暢子さんという画家の絵でした。
ちょうどその時期に国分寺で上田さんの個展が開催されていて、
私もその個展に行き、あまりにも魅力的な作品たちに心から感動し、
一枚の絵を購入した直後の事でした。
同じ画家さんのファンであることが判明したその瞬間の、
Sさんと私の興奮は想像にたやすいでしょう。
「この家づくりは絶対にうまくいくな」と確信した瞬間でもありました。

上田暢子さん。
神戸に在住されていて、正確なお歳は聞いていないけれど、80歳は超えられているそう。
どの作品を見ても、本当に瑞々しく自由な精神を感じます。
憧れるんですよ。
こんな風に歳を重ねたい、こんな風に生きていきたい、と。
私の乏しい語彙では伝えきれないのですが、心が解放されるのです。
それはきっと、上田さんの表現する自由が、
人生で味わう不条理や不自由がしっかりと内包され、
それらを受け止めた上で自らが選択し掴み取った自由のように感じられるからかもしれません。

その上田さんの久しぶりの個展が日本橋の中和ギャラリーで開催されていて、
今日、足を運んできました。
相変わらずの世界観。とにかくいい!

写真でもテキストでも、この魅力を伝えられないのがもどかしい。
出来ることなら、1枚ずつすべての作品を紹介したいくらいです。
個展の開催は明日20日で終わってしまうのですが、
運よく終了前にこのブログを読めた方、お時間が許せばぜひ足を運んでみてください。


上田暢子展『そしてゆっくりと』

コロナ生活がひと段落して日常を取り戻す頃、
慌てずじっくり慎重に羽根を伸ばしてゆく・・・
            ~ギャラリーHPより抜粋

中和ギャラリー:中央区日本橋本町1-5-17 町田ビル4F
最終日 11月20日(日) 12:00~17:00

さて、冒頭のSさんの家。
上田さんの絵を飾る玄関は、こんな風に設えました。

これは引渡し直後なので、まだカウンターの上に置かれている状態ですが、
今頃は壁に掛けられている事でしょう。
この写真は、上田さんの東京での展覧会をマネジメントしている方を通じて、
上田さんにも届けていただけました。
とびきりのエピソードも含めて、喜んでいただけたようです。

Works!

このHP上に『Works』のページを足したいとはずっと思っていたのですが、
どんなページの構成にすればいいのか、どうしてもイメージが固まらなかったのです。
設計事務所のHPらしく、物件ごとにまとめるのが王道なのは分かっているのですが、
どうしてもそういうページにはしたくなくて…。
もう少し、秩序と混沌の真ん中みたいな、あまり親切じゃないページにしたかったのです。

ブログとは別にInstagramをやっていて、
そちらにはたまに進行中の現場の事や過去の仕事の写真をPOSTしているのですが、
どうやら私はInstagramが一番相性が良いらしく、
気持ち的にも作業的にも軽やかにアップできるので、
暫定ではありますが、Worksページを、Instagramの転載という形でまとめてもらいました。
Instagramのアカウントを持っていない方も見られるらしいのです。朗報!

どういう心理か自分でもよく分からないのですが、
なぜかブログに仕事の事はあまり書く気がしなくて、いかがなものかと思っていたのですが、
これでしばらくは、余計なことで悩まずに、SNSとブログの使い分けが出来そうです。
すでにInstagramをフォローして下さっている方は、今まで通りそちらでお付き合いください。
それ以外の方達には、ブログとは別に楽しんでもらえるページになるよう、励みます!

取り急ぎのご報告でした。
トップページの右下、あるいはこのブログページの右上の『Works』からお入りください。

あ、ちなみに。
このHPを公開した時にも書いたのですが、トップページの画面は、
私が愛してやまない多摩湖の水面映像を加工して作っていただいたもので、
WEBデザイナーさんと私のイチオシのページです♡
毎日、洪水のように流れてくる視覚情報に疲れた時には、
ぜひ、このページをぼーっと眺めてみてくださいね。
不思議と落ち着きますので!

画面越しではない景色

最近、意識的に少しスマホから離れる時間を取るようにしています。
先週末には、2日間ほぼ終日電源自体をオフにして、PCでもSNSは見なかったのですが、
たったそれだけの事でも、脳がラクというか…。
日頃、視覚から得ている情報の多さはすごい量なんだとあらためて感じます。

今朝は、あえてスマホを持たずに朝散歩に出かけてみました。
多摩湖の堰提に続く狭山公園の雑木林は、この数日でかなり色づいてきて、
雲ひとつない青空に、紅葉が本当に美しく映えていました。
何度も、やっぱりスマホを持ってくればよかった…と思ったのも事実ですが、
最近良く思うのが、心を動かすような風景に出会ったとき、
自分での目で見ている時間より、画面越しに見ている時間の方が長いのでは?という事。
写真を撮るという行為がとても身近になり、それはとてもいい事だとも思うのですが、
なんだかとてももったいない気がしてしまうのです。
足繫く通っている散歩コースの景色も、フレーミングせずに、
そのままの自然のダイナミズムをちゃんと堪能してるのかな…と思ってしまって。

この町では、夏になると毎週末、西武園の花火を楽しめるのですが、
その花火に至っては、おそらくほとんど画面越しに見てるんですよね。
ついつい写真を撮ったり動画を撮ったりしてしまうので。
もっと純粋に目の前に広がる景色を楽しみたいですよね。楽しまなければですよね。

そんな事をいつも考えていたので、あえての手ぶら散歩となったわけですが、
結論から言うと、スマホを持っている時も、
ちゃんと360度大パノラマの景色は堪能しているなと確認は出来ました。笑
それでも、たまには五感だけで楽しむ時間を意識的に取った方が良さそうです。
「つい撮りたくなる」という場面と出会えることの幸せも感じつつ、
記録ではなく記憶に残す時間も、同じように大切にしていきたいものです。

と言いつつも、今日の散歩の記録を残したくて、帰り道、秋を少しテイクアウト。
自宅に戻って、猫に気づかれないうちに写真に収めようとしたのですが、及ばず。笑
何度取り直しても、猫の一部が写り込んでしまいました。

でも、我が家の秋の一コマとしては、なかなかの傑作。とても気に入っています。

月別アーカイブ