別れ

先月、ある方のご主人が亡くなり、
四十九日を前にお別れのおまいりに行ってきました。
『ある方』という表現は変なのですが、
知人とも友人とも少し違う、
お世話になってる方と書くのも懇意にしている方と書くのも何か違う。
自分にとってのその方の存在にぴったりとあてはまる言葉が見つからないのです。
そのご夫婦が、言葉をとても大切にしている方達なので、
適当な言葉で表現することができずにいます。

そんな大切な存在であるご夫婦のご主人とのお別れです。

到着時間の伝え方が悪く、着いた時に奥様が不在で、
10分ほど、お庭で待たせていただきました。
庭いじりが大好きだったというご主人の事を思いながら、
最後の一花となった白木蓮を眺め、写真を撮りました。
なぜか、撮らずにいられなかったのです。

*

スターダストレビューの『木蘭の涙』という歌。
私自身も大切な人との死別を経験しているので、
要さんのその歌声を聴くたびに、胸に迫るものがあるのですが、
奥さんも、これから毎年木蓮が咲くたびに、この悲しい別れを思い出すのだろうな。
先に逝く人との想い出というのは、どうしてこれほどまでに、
生活のあちらこちらに、くっきりとした輪郭を持って散りばめられてしまうのだろう…
と、少し切ない気持ちにもなるけれど、きっとそれは幸せなことでもあるのでしょう。

*

そんなことを考えながら奥さんのお帰りを待ち、ご主人のご霊前にお参りに行くと、
遺影の隣に、満開の白木蓮の写真が飾られていたのです。
あぁ…やっぱりお好きだったのだな。
最後の花が落ちる前に、会いに行けて良かった。

なんでも大仰な意味付けをするのはあまり好きではないのだけれど、
故人の声を聴いているとしか思えない出来事は、ままあるようです。

*

私がいつもお花を注文しているお花屋さんに、
ご主人のお人柄やお仕事での功績など、人物像だけを伝えて、
お任せで作っていただいた仏花。
お悔やみではあるけれど、庭に咲く野花のようなお花をお供えしたいというリクエストに、
今回も、期待以上の素敵なアレンジで応えてくださいました。

喜んでいただけてるといいな。

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