記念日に。

今日6月8日は24回目の創立記念日。
来年はとうとう25周年…。四半世紀かぁ。すごいなぁ…我ながら。

今日はちょっと、24年前の事を書いてみようと思います。

1998年の年末に、勤めていた会社を退社しました。
その時は、実はもう設計の仕事はやめるつもりだったんです。
別に「もう設計なんてイヤ!」と絶望していたわけでも、疲弊していたわけでもないのですが、
なんだろうな…、20代、とても濃密に仕事に没頭していたので、
すでに燃え尽きていたというか(笑)、もういいかな…という感じだったんです。

ちょうどそのタイミングで、当時住んでいた家の近くに、
大きな蔵を改装した素敵なギャラリー&レストランがオープンする事になり、
そこのオープニングスタッフとして働き始めました。
そのお店は、某一流ホテルの催事担当だった方が独立をして始めたお店で、
レストランのメニューもそのホテルのシェフが直々に指導してくれる内容で、
ギャラリーでは、今思えばそうそうたる大御所の作家さんたちの展覧会が続いていました。
当時は若かったから、まだそのすごさも分かってなかったんですけどね。

レストランの給仕とギャラリーでの接客は、本当に自分に合っていて、
もうずっとこの仕事をしていたいな…と思っていたのですが、
会社を辞めたという噂が広まり、昔からのお付き合いのある知人や会社さんから、
それならちょっと手伝ってよ、図面書いてよ、と声が掛かりはじめ、
そのくらいならいいですよと請けているうちに結構な数になってきて、
これはとりあえず事務所登録だけはしておかないとまずいかなと思って、
建築士事務所協会に申請し、決裁されたのが1999年の6月8日という訳です。

それでもまだその時は、ギャラリーレストランの仕事は続けるつもりだったのですが、
その後はもう副業でこなせる業務内容ではなくなっていってしまい、
「多分、私の天職は接客業だと思うけれど、設計の仕事をする運命なんだな」と理解し、辞め、
(接客業への憧れは今なお強く持っているのですが…笑)
そこからは覚悟を決めて設計の仕事を続けてきて、今に至るという訳です。
独立するぞ!とか、建築家になるぞ!みたいな志は一切なく開業した私が、
毎年、創立記念日に感慨深くなるのもおかしな話だよな…とは思うのですが(笑)、
やっぱり、これだけ続けてこれたのはすごい事だと思います。
ひとえに、私に設計を託してくれたお客様達、
いつも全力で惜しみなく、私のフォローをしてくれる業者さん達、
そして、応援しあい切磋琢磨しあえた素晴らしい同業他業の友人達を筆頭に、
これまで私に関わって下さったすべてのみなさまのおかげだと思っています。
本当にありがとうございました。

なぜここまで続けてこれたのか?を考えてみると、逆説的なのですが、
始めた時からずっと、大きな志も野望もなかったからなんじゃないかな?とも思います。
もちろん、そういったしっかりとした志をもって続けてこられてる人はたくさんいるし、
その方がいいに決まってるのですが、私の場合はきっとこれからも、
大海を漂流している筏のような頼りなさで、明確な目的地も持たず、
都度都度真剣に悩んだり考えたりしながらも、流されていくような気がしています。
それがいちばん私の生き方に合っているんじゃないかな、と。
こんな私ではありますが、どうかこれからもよろしくお付き合いくださいませ。

さて、長くなりましたがもう少し。

この佳き日をどう過ごすかは、次の一年を暗示するような気がして、
毎年それなりに大切に過ごしてはいるのですが、
今年はなんと、現場での、斫りケレン作業員として過ごしました。笑

18年前のスケルトンリフォーム工事から今に至るまで、定期的に関わらせてもらっている、
すでにお友達のような住まい手、Hさんの家。
Hさんが20年前に中古住宅として購入した時から、
あまり美しくはない姿で存在していた道路境界の土留め塀を、今度こそなんとかしたくて、
とりあえず表面の塗膜を剥がしてから仕上げ方を考えましょうという事になり、
住まい手さんと監督さんと私で作業を始めたのですが、
これがなかなかの強者で、結局、ヘラとハンマーでモルタルを斫る羽目になりまして…笑。
なめておりました。

こういう作業は図面書きより好きなので、思いっきり楽しませてもらいましたが、
おそらく明日には両腕がプルプルしてると思います。笑

これがこの先1年の私の活動の暗示となるとすると……
きっとまた、住まい手さんと施工者さんと設計が同じ目線で、一緒に、
家づくり、暮らしづくりを楽しめるということでしょう。
みんなで笑いながら仕事がしたい。心からそう思います。

作業中、監督さんが撮ってくれた私の写真。。。
これ、あまりにもかっこよすぎて(笑)、載せていいものか迷うところなのですが、
記念なのでおさめておきましょう♡ 惚れるなよ!

私はいつだって、ガテン系建築家。
ステキ建築家への道は遠く険しい…笑

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