2023.12.19
リフォーム現場に、表替えを終えた畳が入りました。
今回は、打合せの段階で畳表のサンプルを用意して、
国産の井草と中国産の井草を見比べ、差額も伝えた上で国産を選んでもらったのですが、
やはり、目の柔らかさやしなやかさが違う。
畳になってしまえばそんなに分からないかもしれないけれど、表で見比べると全然違うのです。
天然自然素材故に、人工的な商品独特の均一的なきれいさがないのも、個人的には好き。
1本1本の草が均一じゃないからこそ、それを美しく仕上げるために、
とても贅沢な草取りをしている事も、今回、畳屋さんに教えてもらって初めて知りました。
特に指定しなければ、今は中国産の井草が使われるのだそう。
井草どころか、樹脂の畳もたくさん出回っているし、
そもそも、本当に和室を作る機会が減ってしまったけれど、
久しぶりに真新しい畳の匂いに包まれ、日本人のDNAが呼び覚まされました。
工務店に勤めていた頃、仕上表には必ず畳表を『備後』と指定していていました。
正直、20代前半のペーペーの小娘にはあまりよく分かっておらず、
そう書けと言われたからそのまま書いていただけなんだけど、
あの頃(30年前)に当たり前に使っていた素材と今の標準の違いを、
あらためて確認していくこともしてみたくなっています。
と、この流れで写真を載せるなら、当然畳の写真なんだけど、
畳より心奪われたのがこちら。畳屋さんの道具。
畳を敷き込む作業の時に、職人さんの6本目の指のような働きをしていていました。
かっこいいなー。
職人さんの道具へのあこがれが強いのです。
現場で、見たこともない便利そうな道具を見せてもらうと、うらやましくなっちゃって、
自分でも欲しくなって買ってしまい、そのまま一度も使うことなく仕舞われてるものも多々あり。笑
(ちなみに、今いちばん欲しいのは、バネ製造機なんですけどね。
私の『バネ愛』を語りだしたら止まらなくなるので、この話はまたの機会に。笑)
昔、設計の師匠に、
「設計者は鉛筆が道具の職人にならなければいけない」
と言われたことがあり、職人でありたいと願う私のよりどころの言葉だったんだけど、
今となっては、そのたったひとつの道具さえ使わなくなってしまっている。
職人とか手仕事に憧れてばかりいるのは、やはり、自分の仕事の身体性の欠如なんだろうな。