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切磋琢磨

昨日は終日、木造住宅の低コスト耐震補強の講習会でした。
2年前に受けた同講習会のベーシックコースに続き、今回はアドバンストコースとなり、
講義だけでなく、ソフトを使っての演習問題をやりながら、
補強方法と工事費用を同時に検討するという、とても濃い内容。

耐震補強をしたい家主さんが、費用を理由に諦めてしまうことのないように、
工期を短縮し、発生するゴミを減らし(解体工事を減らし)、
また、電気や給排水などの付帯工事を極力絡ませずに、
とにかく低コストで耐震の評点をあげ、安心して住めるようにすることに特化して、
ものすごい数の実験を繰り返して、あらゆるケースの補強方法が体系化されています。
名古屋工業大学高度防災工学研究センターの取り組み。頭が下がります。

愛知県や高知県を中心に、南海トラフで甚大な被害が想定されている地域では、
この工法を使って、民間と行政が一丸となって耐震補強が進められているのですが、
東京でもついに、葛飾区が助成金の対象工事にこの工法を受け入れたのだそう。
この耐震補強工事における各行政の助成金のシステムは、一言で説明できるものではなく、
中途半端にブログに書いてしまうと誤解が生じるのでやめておきますが、
耐震診断と耐震補強が、もっと本質的に問題解決の方向に向かっていくといいなと思います。
私も、この貴重な学びを、可能な範囲で実務にしっかり落とし込んでいかねばです。

と、講習会自体がとても実りあるものだったのだけれど、それ以上にうれしい事があり、
10年以上前に受講していた『住宅医スクール』の仲間と、
思いがけず、久しぶりの再会ができました。しかもふたりも!
この住宅医スクールは講義内容や講師の先生方ももちろん素晴らしかったのだけれど、
受講している人達が本当に志の高い人ばかりで、
その一年間で得た知識と交友関係は、今も私の仕事の下支えになっています。

昨日だけでなく、今年に入ってから、同業の友人知人たちの存在に励まされることが多く、
ありがたい事だなぁ…と、しみじみ感じています。
昨日の講習会に参加していた人たちも然りで、最後の質疑応答の質問のレベルの高いこと!笑
みんな頑張ってるな。私も頑張らなきゃ。
素直にそんな気持ちになれた1日でした。

最後に。
2年前にこの講習会を受けた時に書いたブログを読み返してみたら、
とても大事なことが書かれていたので、自戒を込めて、再掲しておきます。
同志のみなさん、頑張りましょう!

 

講義の中で講師の方が言われた
「コストを下げてあげられるのは施工者ではない。あなたたち(設計者)しかいないのです」
という言葉がとても印象的でした。
これは耐震改修に限った話ではないんですよね。
自分が書く1本1本の線にお金がかかるのだという自覚は持ってやっているけれど、
もっともっと設計の段階で努力するべきことはあるぞと、再確認した一日。
建築費高騰を隠れ蓑にして自分の仕事に怠惰にならないように気をつけなければ。

 

設計するのが楽しくて仕方ないのがダダ洩れな人と会ってきた。笑

もう3年くらい前からかな、
いつかこの工務店さんの仕事を実際に見せてもらいたいと思い続けていた工務店さんがあって、
年明けに、HPで完成現場見学会のお知らせを見つけたので、思い切って申し込み、
今日、見学をさせてもらってきました。

いろいろと感想を書こうとすると、いつものように言葉が too much になってしまいそうなので、
今日は簡潔にまとめようと思います。笑
3年間この会社の存在がずっと気になり続けていた理由も、見せて頂いた家の素晴らしさも、
感じ取ったものを表現しようとすると同じ言葉が浮かんできて、それは、
圧倒的な『バランスの良さ』と『絶対的な信頼関係』でした。

設計者が、大工さんをはじめとした職方さんの技術を信頼していて、
お施主さんがこの会社の仕事ぶりを信頼していて、
会社のみなさんが、自分の会社のあり方や自分自身の仕事を信頼している。
そして、関わるヒト、モノ、コト全てが見事に釣り合ってるという印象。
なんででしょうね…。そういうものって、ちゃんと全部伝わってしまうのですね。
もうずいぶん前にこのブログで紹介したことのある私の座右の書、『じぶんの仕事をつくる』。
そこに書かれていた『いい仕事』に思いを馳せながらの帰り道でした。
感動したとか、刺激を受けたとかというより、「ちょっと嫉妬した」が正しいかも。笑

見学させていただいたのは、入間市に事務所を構えられている技拓工房さん。
本当にありがとうございました。

余談なんだけど、本当にこの世のご縁というのはおもしろいもので、
案内して下さった方といろんな話をしていたら、
全く思いがけない共通の知り合い(建築関係者じゃない)がいたり、
仕事以外の活動の点と点が繋がっていたりして、
「え?そうなんですか?!」って、いったい何度口にしただろうか…。笑
こういう時って、進んでる道は合ってるよと神様に言われているようでうれしくなるのです。

街のポテンシャル

埼玉県の小川町で開催された『空き店舗 未来シンポジウム』へ。

昨年の10月頃から、月1〜2回くらいのペースで小川町に足を運んでいて、
今、私の中のパワースポットなのです。
この小川町のことはいつか改めてちゃんと書こうと思っていますが、
知れば知るほど魅力的な町で、この町の取り組みをもっと知りたくて参加を決めたこのイベント。

地元の大家さんと、移住や起業を考えている人がメインターゲットのようだったので、
完全アウェイになるかな?と少し不安だったけれど、
県外からも、私と同じように小川町が気になってる人や、同業の建築家も何人も参加していて、
そのシンポジウムの内容も素晴らしい完成度で、とても有意義な1日を過ごしてきました。

建築家・荒木牧人さんの講義(この講義も荒木さんのお人柄も最高に素敵だった!)に始まり、
午後には、実際に空家をリノベーションして始めたお店の実例を、
[専門家に依頼型][ファン参加型][DIY型]のタイプ毎に見学し、
物件との出会いや関わった人、リノベーションにかかった費用まで資料として開示してくれて、
これは具体的に移住や起業を検討してる人にとってはとても参考になったことでしょう。

見学したお店のひとつ。痺れる小屋組み♡

見学後のグループワークや懇親会では、リノベーションと法改正についても、
作り手側と住まい手側がフラットな関係性の中で今後の課題を共有できて、私にとっても、
この先設計者としてやるべき事がとてもクリアになる貴重な機会になりました。

改めて、正しい知識を持った上でお客さんに寄り添って、
中庸?真ん中?そのあたりに存在していたいという思いを強くした1日。
まだまだ、私にできることはあるのかもしれない。参加してよかった。

今日の収穫はこんなもんじゃないのだけれど、
それは少しずつ、実際の仕事に活かせるように頑張ります。

帰りの電車が一緒だった参加者さんと話していて、
街のポテンシャルは、その街が抱えてる問題、課題の大きさに比例しますよね、という結論に。
言葉通りの意味なんだけど、もしかしたら、
人の人生もそうなのかもしれないな…なんて思ったり。
だとしたら、私なんて伸び代しかないじゃないか!笑

 

Let’s enjoy empty house!

国内の空き家の数が、過去最高の900万戸になったと、
なぜかニュース速報となって配信されてきました。

これは全戸数の13.8%に当たるそうで、と言うことは、全戸数は凡そ6500万戸。
今、日本の世帯数は5500万世帯に満たないはずなので、
その差の1000万戸は、住所を実家においたままの一人暮らしとかなのかな?
.
ニュース速報にするほど緊迫したニュースではないと思うけど、本当に由々しき問題。
もう何年も前から『空家問題』が叫ばれていて、どんどん深刻さを増してるはずなのに、
ここ最近のマンション建設ラッシュはなんなのさ?笑
乱立といっていいくらい、あちらこちらで新築マンションが建設されていて、
クレーンを見上げながら、この戸数分また空家がでるのね…と、ため息をついています。

この課題に取り組もうとしている人達もたくさんいるのに、
いつまでたっても根本的に解決しない問題。
『問題』にしちゃってるからダメなのかな。
眉間に皺を寄せてても楽しいアイデアは生まれないから。
なので、Let’s enjoy empty house!です。笑
『Empty House』と呼ぶだけでなんだかウキウキしてくるから不思議。

でっかいプロジェクト的な事は、一設計者には手に負えないけれど、
なんかちょっと愉しいことを提案できるようにはなりたいな…と思っています。
空家に向き合う時には「難しい」は禁句にしよう。
もう、由々しき問題なんて二度と言わない。笑

すごいな…。
ブログを書いている間に気持ちに変化が起こるんですよ。
書き出した時、この結びは想像してなかった。笑

素直につくればいい

節分。

2021年にスケルトンリフォームをしたKさんの家へ、2年ぶりに訪問。
引渡しの時にWorks(Instagram)に載せたKさんの家の様子はこちら

この投稿の最後の動画にある、渾身の折り畳みちょい置き棚。
作ってはみたものの、いちいち折り畳むのも面倒くさいだろうし、
そんなに活用してもらえてないかもなぁ…、
まぁでも、たまに使って重宝してくれてたらいいな…
くらい期待値を下げて(傷つかない為の保身・笑)、
どうですか?役に立ってます?と聞いてみたら、
なんのなんの!毎日フル活用してくれてるとの事♡
奥さんが実演でこの棚を広げてくれたのですが、片手と片足であっという間に組立て。
これは2年間に及ぶ毎日の修練なしには成しえない、惚れ惚れするほど軽やかな動きです。笑

限られた面積、難問だった構造上の課題などに素直に対峙してつくった家ですが、
その結果、奇を衒ったわけではない小さな仕掛けが、生き生きと存在してくれています。
そう、この家は本当に素直な家なのだと思います。
素直につくったら、いろんな事がちょうどよくなってくれた家。

玄関脇に設えた、多趣味なご主人の為のストックヤードもとてもいい感じ。
私は総じて、家の中にご主人の気配をしっかりと感じられる家が好きなんだな。
「俺の〇〇」シリーズ。笑 もっと雑多にタフに使ってもらってもいいくらいです。

左手前に映っている鮭の人形がいい仕事をしていますね。かわいい。

打合せの時のご夫婦の会話を、今でもよく覚えていて、
(このご夫婦の関係性が私は大好きなのです)
しみじみと、楽しかったあの夏の工事を思い出しました。

今日は、ご主人のお友達(中1からのほぼ50年来のお友達!)ご夫婦も遊びにいらしていて、
いろんな話を聞かせてもらいましたが、こちらもまた気持ちのいいご夫婦で。類友ですね。

家は3回建てれば…的な話をよく耳にしますが、多分それは回数の問題ではなくて、
人生の一仕事を終え、たくさんの取捨選択を経てあらゆる意味で余分なものが削ぎ落され、
大切なものがはっきりと分かってきて、しかもまだまだ元気な60歳くらいで、
今の自分たちに過不足のない暮らしを求めた時に、
やっと本当に満足のいく家づくりができるという事なんじゃないかな?

60歳からの住まいづくりは、『シンプル』より『素直』がとても大事なキーワードな気がします。
うん、なんか、書きながら思いついたことだけど、とてもそう思います。

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